この記事の監修者

行政書士:寺岡 孝幸(てらおか たかゆき)
資格:行政書士、土地家屋調査士。
主な取扱い専門分野:遺産相続手続き全般。

経歴:開業以来16年間、相続手続きに関する業務を全国対応で行ってます。
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特別代理人の選任と申立(もうしたて)は、
亡くなった人の相続人の中に、
未成年者がいる場合に必要になることがあります。

なぜなら、未成年者(満20歳でない人)については、
法的な判断が十分できないため、相続の遺産分割協議に、
参加してはいけないことになっているからです。

ただし、相続人の中に未成年者がいる場合、
常に、特別代理人の選任と申立が必要なのかと言えば、
そうではありません。

その未成年者の親も、
同じ被相続人(亡くなった人)の相続人である時に、
特別代理人の選任と申立が必要になるのです。

逆に言えば、未成年者の親が、
同じ被相続人(亡くなった人)の相続人でなければ、
特別代理人の選任と申立は必要ありません。

なぜなら、その未成年者の親が、
法定代理人となり、未成年者の代わりに、
遺産分割協議などに参加することになるからです。

たとえば、未成年者が何か法的な行為が必要な時には、
「親の同意が必要」、といったことがよくあるように、
相続では、未成年者の代わりに親が判断するわけです。

しかし、未成年者の親も同じ相続人の場合には、
利害関係があり、公平な判断が難しくなるため、
親は、未成年者の代理人にはなれないことになっています。

そのため、未成年者の親も同じ相続人の場合にのみ、
未成年者の代理人となる特別代理人の選任が、
必要になるということです。

なお、特別代理人の選任と申立(もうしたて)は、
家庭裁判所に対して行う手続きで、
未成年者の代理人になる人を選任する手続きのことです。

そして、特別代理人の選任申立に必要な書類としては、

・ 特別代理人の選任申立書

・ 特別代理人候補の戸籍謄本と住民票

・ 未成年者の戸籍謄本

・ 申立人の戸籍謄本

・ 遺産分割協議書など相続のわかる資料

以上の書類が必要となります。

さらに、ケースによっては、上記の書類以外にも、
その他の資料が必要になることもありますので、
その点には注意が必要です。

また、特別代理人の選任と申立は、
誰でも家庭裁判所に対してできるというわけではなく、
未成年者の親権者と、利害関係者のみができる手続きです。

では、特別代理人の選任と申立が必要なケースを、
具体例で挙げてみます。

よくあるのが、被相続人(亡くなった人)の配偶者と、
子供(未成年者)が相続人になる場合です。

配偶者と子供は、亡くなった人の同じ相続人になりますので、
子供(未成年者)の親にあたる配偶者は、
相続で法定代理人にはなれません。

そのため、子供(未成年者)のために、
特別代理人を選任して、
その人が、代わりに遺産分割協議などを行うことになります。

また、上記のケースで、
子供(未成年者)が2人以上いた場合には、
それぞれに特別代理人を選任する必要がある点に注意が必要です。

その場合、亡くなった人の遺産分割協議などの話し合いを、
配偶者と、特別代理人2人の合計3人で、
進めていくことになります。

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