この記事の監修者

行政書士:寺岡 孝幸(てらおか たかゆき)
資格:行政書士、土地家屋調査士。
主な取扱い専門分野:遺産相続手続き全般。

経歴:開業以来16年間、相続手続きに関する業務を全国対応で行ってます。
行政書士のプロフィールはこちら

被相続人(亡くなった人)に子供や孫がいなくて、
両親や祖父母、曾祖父母も全員亡くなっていれば、
兄弟(姉妹を含む)に相続の権利が移ってきます。

なぜなら、亡くなった人の子供や孫は、第1順位の法定相続人で、
両親や祖父母、曾祖父母は第2順位の法定相続人で、
兄弟が第3順位の法定相続人と、法律上決まっているからです。

そして、相続の権利は、まず第1順位の相続人にあり、
第1順位の相続人がいない場合に限り、第2順位の相続人に移り、
第2順位の相続人がいない場合に限り、第3順位の相続人に移ります。

逆に言えば、亡くなった人に子供や孫がいたり、
両親や祖父母、曾祖父母の内で、生存している人が1人でもいれば、
亡くなった人の兄弟が相続人になることは無いと言えるのです。

また、兄弟が相続人になる相続では、
亡くなった人に、配偶者(夫または妻)がいるのかどうかによって、
それぞれの法定相続分なども大きく違ってきます。

まず、亡くなった人に配偶者がいる場合には、
配偶者と兄弟(姉妹を含む)が、法定相続人になります。

そして、亡くなった人の配偶者の法定相続分は、
遺産全体の4分の3で、
兄弟の法定相続分は、兄弟全員で遺産全体の4分の1となっています。

つまり、亡くなった人が残した遺産に、銀行預金や不動産があれば、
銀行預金と不動産の評価額を足した総額を計算した上で、
配偶者が4分の3、兄弟全員で4分の1といった配分になるわけです。

ただし、法定相続分については、法律上定められた目安となっており、
かならず、この配分にしなければならないというものではありません。

そのため、法定相続人全員の合意さえあれば、
亡くなった人の配偶者が、遺産の全部を相続することや、
亡くなった人の兄弟が、遺産の全部を相続する、といったことも可能です。

なお、法定相続人が兄弟の場合、
通常、兄弟の配偶者については、相続の権利はありません。
兄弟の子(養子を含む)についても、相続の権利はありません。

しかし、すでに亡くなっている兄弟がいる場合には、
兄弟の配偶者や、兄弟の子(養子を含む)が、
法定相続人になることがあります。

まず、兄弟の配偶者が法定相続人になる場合とは、
被相続人(亡くなった人)の兄弟が、
被相続人が亡くなった後に、亡くなった場合です。

たとえば、兄が亡くなり、兄には子も孫もいなくて、
両親、祖父母も全員他界している場合、
兄弟は弟だけといったケースがあったとします。

その場合、弟が法定相続人になるのですが、
その相続の手続きなどを一切しないまま、または、一切できないまま、
弟が亡くなることもありえます。

もし、弟に配偶者と子がいれば、
弟の法定相続人は、弟の配偶者と子になるのですが、
兄の法定相続人にも、弟の配偶者と子がなるのです。

これを専門用語では、数次相続と呼んでいて、
1つの相続(兄の相続)を済ませる前に、
もう1つの相続(弟の相続)が発生してしまった相続のことを言います。

ただ逆に、兄が亡くなる前に、
弟がすでに亡くなっていた場合には、
弟の配偶者は、兄の法定相続人にはなりません。

しかし、弟の子(兄から見て甥や姪)は、
弟の代わりに、兄の法定相続人になります。

この相続のことを、数次相続とは区別して、
代襲相続と呼んでいます。

スポンサーリンク