この記事の監修者

行政書士:寺岡 孝幸(てらおか たかゆき)
資格:行政書士、土地家屋調査士。
主な取扱い専門分野:遺産相続手続き全般。

経歴:開業以来16年間、相続手続きに関する業務を全国対応で行ってます。
行政書士のプロフィールはこちら

被相続人(亡くなった人)が、
全文自筆で作成した遺言書を残していた場合、
遺言書の検認という手続きを受ける必要があります。

検認とは、家庭裁判所が、
遺言書の存在と、その内容について、
確認するための手続きのことです。

そのため、亡くなった人の遺言書を預かっていたり、
遺言書を発見した場合には、
すみやかに、家庭裁判所で遺言書の検認をしなければなりません。

ただ、遺言書の検認では、遺言書の有効性の確認や、
その内容の有効無効を判断するものではなく、
あくまで、遺言書の存在と状態の確認のみとなります。

もっとわかり易く言えば、
亡くなった人が作成した遺言書があるということの、
一種の証拠保全の手続きと言えるものです。

この遺言書の検認手続きによって、
遺言書の存在と、その内容を相続人が確認することで、
偽造や変造を防ぐことができるというわけです。

また、遺言書が、封印された封筒に入っている場合、
遺言書の検認前に、勝手に開封することは、
法律上、認められていません。

封印された遺言書については、
検認時に、相続人の立ち合いの上、
家庭裁判所で開封しなければならない決まりになっています。

もし、封印された遺言書を、
勝手に開封してしまうと、
5万円以下の過料(金銭罰)になってしまいます。

逆に、封印されていない遺言書については、
検認前に、開封しても良いことになっているのです。

遺言書の検認手続きに必要な書類と流れ

遺言書の検認は、遺言書を持っていた相続人か、
もしくは、遺言書を発見した相続人から、
亡くなった人の最後の住所地の家庭裁判所に申し立てます。

ただ、口頭で申し立てるというわけではなく、
遺言書の検認の申し立てに必要な書類をそろえて、
家庭裁判所に提出する必要があります。

遺言書の検認の申し立てに必要な書類としては、

・ 検認申立書

・ 亡くなった人の出生から亡くなるまでの戸籍の謄本類

・ 相続人全員の戸籍の謄本類

以上の3種類です。

ただ、上記の3種類以外にも、
ケースによっては必要になる場合があります。

また、基本的に必要な書類は、上記の3種類ですが、
亡くなった人の出生から亡くなるまでの戸籍の謄本類は、
1通や2通ではありません。

少ない人でも5,6通前後、
多い人なら50通前後になることに注意が必要です。

なぜなら、亡くなった人の戸籍の転籍状況や、
相続人との相続関係によって、
必要な戸籍の謄本類の数は、人によって大きく違ってくるからです。

もし、亡くなった人に子供がいなければ、
亡くなった人の出生から亡くなるまでの戸籍の謄本類だけでなく、
亡くなった人の両親や祖父母の戸籍の謄本類も必要になります。

また、検認の流れとしては、必要書類を家庭裁判所に提出後、
家庭裁判所の方で、検認の日時を決定し、
相続人など利害関係者に通知されます。

検認日には、申立人は必ず出席する必要があり、
他の相続人の立ち合いのもとで、
裁判官が遺言書を開封して、その内容を確認します。

検認が終われば、遺言書に検認済み証明書が添付されて、
申立人に返却され、その遺言書によって、
相続人の方で、各相続手続きを進めていく流れになるのです。

スポンサーリンク