この記事の監修者

行政書士:寺岡 孝幸(てらおか たかゆき)
資格:行政書士、土地家屋調査士。
主な取扱い専門分野:遺産相続手続き全般。

経歴:開業以来16年間、相続手続きに関する業務を全国対応で行ってます。
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相続人がいない場合とは、
亡くなった方に配偶者(夫や妻)がいなくて、子供や孫もいない、
そして、両親や祖父母、曾祖父母も全員亡くなっていて、
兄弟姉妹や甥姪もいない場合のことです。

上記の全員がいない場合には、
亡くなった方の法定相続人はいない、と判断できますが、
相続人の所在が不明や、行方不明というのとは違います。

亡くなった方の法定相続人の調査を戸籍上行い、
法定相続人の調査に必要なすべての戸籍類から判断して、
法定相続人がいない、と判断できる場合に限るのです。

なぜなら、何も調べずに、
亡くなった方には縁故者がいないから、
法定相続人は多分いないだろうでは不十分です。

老後の面倒を誰も見ていなかったとしても、
看取る縁故者もいなかったとしても、戸籍を調べてみると、
実は子供がいた、ということもあるからです。

また、相続は亡くなった方の甥姪にまで及びますので、
子供がいなくても、両親や祖父母も亡くなっていて、兄弟姉妹も亡くなっていても、
甥姪が1人でもいれば、法定相続人はいることになります。

では、法定相続人の確定に必要な範囲の戸籍類をすべて取得して、
相続人の調査をした結果、
法定相続人はいないということになった場合どうなるでしょう?

通常は、家庭裁判所に利害関係人などが申し立てて、
相続財産管理人を選任してもらうことになります。

そして、選任された相続財産管理人が、
相続財産の管理、弁済などを行うことになるわけです。

ただ、法定相続人はいないと確定した場合には、
家庭裁判所は、特別縁故者に、
相続財産を与えることができます。

その時には、相続財産の全部を与えることもできますし、
相続財産の一部を与えることもできるのです。

この特別縁故者とは、法定相続人ではないけれども、
亡くなった方の最後の方で世話をしていた人や、
亡くなった方と一緒に生活をしていた人のことです。

また、世話をしていなくても、
一緒に生活をしていなかったとしても、
亡くなった方と、特別の縁故がある人も、特別縁故者と言えます。

特別縁故者にあたる人で、よくあるケースとしましては、
亡くなった方の内縁の妻がいます。

いずれにしましても、法定相続人がいない、と言えるのは、
法定相続人の調査を、戸籍上、行ってからの判断となりますので、
安易に、思い込みや状況のみで判断されてもあまり意味がありません。

特に、亡くなった方の晩年のみ知っているような場合には、
若いころに子供がいた場合もありますし、
あとから認知した子供がいることもあります。

そういったことは、亡くなった方の戸籍類をすべて見てみないと、
正確に判断できるものではありません。

たとえ、亡くなった方に子供がいなかったとしても、
亡くなった方の兄弟姉妹の有無、甥姪の有無まで、
戸籍上、確認する必要があるわけです。

また、亡くなった方の兄弟姉妹も亡くなっていて、
甥姪もいない、もしくは、甥姪も亡くなっている場合でも、
安心してはいけません。

被相続人(亡くなった方)の亡くなった日付と、
兄弟姉妹が亡くなった日付、甥姪が亡くなった日付によっては、
数次相続が発生している可能性もあるからです。

もし、被相続人(亡くなった方)が亡くなった日付よりも後で、
兄弟姉妹や、甥姪が亡くなっていれば、
新たな相続が追加的にはじまっているため、
被相続人から見て大甥、大姪まで相続が及ぶこともあります。

そのため、相続関係が複雑な場合には、
細心の注意と、正確な民法の知識を持って、
法定相続人の調査と確定を行う必要があるのです。

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