この記事の監修者

行政書士:寺岡 孝幸(てらおか たかゆき)
資格:行政書士、土地家屋調査士。
主な取扱い専門分野:遺産相続手続き全般。

経歴:開業以来16年間、相続手続きに関する業務を全国対応で行ってます。
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相続で寄与分(きよぶん)とは、
被相続人(亡くなった人)の財産の維持や増加に対して、
特別の貢献をした人に与えられる相続分のことです。

代表的な例として、亡くなった人の長男が、
介護を全面的に引き受けて世話をした結果、
高額な介護費用がかからなくなった場合があります。

その場合、特別なことを何もしなかった他の相続人と、
介護を全面的に行った長男とで、
相続分が同じでは不公平になります。

そのため、その不公平な部分を緩和するために、
長男の相続分に、寄与分として上乗せする形で、
公平にするというものです。

ただし、亡くなった人の介護をたまにしていたとか、
少しでも介護に貢献したというのでは、
相続の寄与分というのは認められません。

なぜなら、子が親の面倒を見るというのは、
一般的にも当然のことで、
夫や妻がお互い助け合うのも当然のことです。

そのため、相続で寄与分として認められるのは、
亡くなった人の財産に対して、
特別の寄与をしている場合のみとなっています。

相続の寄与分として認められる要件としては、
大きく2つの要件があります。

1つは、被相続人(亡くなった人)の財産の維持、
または、増加に対することで、
もう1つは、特別の寄与をしたのかどうかです。

では、特別の寄与とはどういったものかと言えば、
たとえば、亡くなった人の事業を、
ほぼ無報酬で手伝ったといった労務の提供があります。

もしくは、亡くなった人の療養(病気やけがの看病など)や、
介護に専念したといったことがあります。

ただ、相続の寄与分については、
亡くなった人の相続人についてのみ認められるもので、
相続人ではない人には、寄与分は認められていません。

つまり、亡くなった人に対して、
どれだけ寄与をしたとしても、
相続人でなければ、寄与分は無いということです。

また、亡くなった人の法定相続人の範囲内にいる人でも、
実際に相続人にはならない人には、
やはり、相続の寄与分はありません。

どういうことかと言えば、亡くなった人に子供がいれば、
子供は第1順位の法定相続人です。

しかし、亡くなった人の両親が生きていれば、
両親は第2順位の法定相続人ですが、
亡くなった人に子供がいれば、両親は相続人にはなれません。

そのような場合、亡くなった人に第1順位の子供がいるため、
両親は第2順位の法定相続人ですが、
実際には相続人にならないため、寄与分は無いということになります。

また、亡くなった人の内縁の妻や、再婚相手の連れ子については、
相続人にはならないため、
相続の寄与分は認められないのです。

では、相続の寄与分は、どうやって決めるのか?
そして、その金額などはどう決めるのか?についてです。

相続の寄与分を認めるのかどうかや、
その金額などについては、
基本的に、相続人の間での話し合いで決定します。

つまり、亡くなった人に対する特別な寄与を、
相続人全員が納得した上で、
寄与分を計算することになるのです。

そのため、相続人の内、
1人でも寄与分について納得しない人がいれば、
相続の話し合いがまとまらないということになります。

ただ、相続人の間での話し合いがまとまらない場合には、
裁判所で寄与分を決めてもらう方法もあります。

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