この記事の監修者

行政書士:寺岡 孝幸(てらおか たかゆき)
資格:行政書士、土地家屋調査士。
主な取扱い専門分野:遺産相続手続き全般。

経歴:開業以来16年間、相続手続きに関する業務を全国対応で行ってます。
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相続の寄与分(きよぶん)は、
被相続人(亡くなった人)の財産の維持や増加に、
特別の寄与をした相続人に認められるものです。

そのため、亡くなった人の相続人でない人には、
寄与分は認められません。

相続の寄与分の計算方法については、
(遺産の総額ー寄与分)×相続分+寄与分=相続分
というのが、基本的な計算方法になります。

たとえば、亡くなった人の遺産に、
現金、銀行預金、不動産(土地家屋)があった場合、
まず、不動産の評価額を計算する必要があります。

現金や銀行預金については、そのまま金額がわかるのですが、
不動産の場合は物のため、
金額に換算する必要があるからです。

なお、不動産の評価額を調べるには、
亡くなった人の不動産の名寄帳や評価証明を、
市役所(または町村役場)で取得する方法があります。

遺産の総額が計算できましたら、
次に、亡くなった人に対して特別の寄与をした相続人の寄与分を、
相続人同士で話し合って決めます。

つまり、寄与分の具体的な金額については、
相続人同士が納得する金額で、
自由に決めることができるということです。

それでは、相続の寄与分の計算方法について、
具体的な例を挙げて計算してみます。

たとえば、亡くなった人の遺産の総額が1000万円で、
相続人が2人(長男と二男)いた場合に、
長男の寄与分が、200万円と決まった場合です。

寄与分の計算方法としては、
(1000万円ー200万円)×(2分の1)+200万円
=600万円が、寄与分を含んだ長男の相続分になります。

そして、寄与分の無い相続人(二男)の相続分は、
(1000万円ー200万円)×(2分の1)
=400万円になるのです。

ただ、寄与分の具体的な金額が、
相続人同士の話し合いで、
まとまらない場合もあるでしょう。

その場合、寄与者(寄与分をもらう人)から裁判所に請求して、
具体的な寄与分を決定してもらうことになります。

上記の例で言えば、
亡くなった人の相続人(長男)から、
裁判所に請求して、寄与分を決定してもらうことになるのです。

裁判所では、亡くなった人の財産に対して、
どんな特別な寄与があったのかや、その期間、
遺産の総額を考えて、寄与分を決定することになります。

では、もう1つ、
具体的な例を挙げて計算してみます。

たとえば、亡くなった人の遺産の総額が3000万円で、
相続人が4人(配偶者と、長男と二男と長女)いた場合に、
長女の寄与分が、300万円と決まった場合です。

寄与分の計算方法としては、
(3000万円ー300万円)×(6分の1)+300万円
=750万円が、寄与分を含んだ長女の相続分になります。

この場合、亡くなった人の配偶者の相続分は、
(3000万円ー300万円)×(6分の3)
=1350万円です。

そして、長男と次男の相続分は、それぞれ、
(3000万円ー300万円)×(6分の1)
=450万円になります。

なお、上記の例で、長男の配偶者が、
亡くなった人に対して介護などを全面的に行い、
特別の寄与があったとしても、寄与分は認められません。

なぜなら、寄与分というのは、
相続人のみに認められるものだからです。
上記の例では、長男の配偶者は相続人ではないからです。

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