この記事の監修者

行政書士:寺岡 孝幸(てらおか たかゆき)
資格:行政書士、土地家屋調査士。
主な取扱い専門分野:遺産相続手続き全般。

経歴:開業以来16年間、相続手続きに関する業務を全国対応で行ってます。
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相続人の中に、未成年がいれば、
通常、親権者である親が未成年の代わりに、
相続の話し合いをすることになります。

親権者である親は、
法定代理人として、未成年の代わりに、
法的な判断をすることになっているからです。

ただ、未成年の親も、
同じ相続の相続人の1人になっている場合には、
法定代理人として、未成年の代わりをすることができません。

なぜなら、同じ相続(亡くなった人が同じ相続)の場合、
同じ相続人同士になっていれば、
利益が互いに反するとみなされるからです。

相続よる相手(親または未成年)の利益は、
もう一方の相手の不利益になるということで、
利益相反行為(りえきそうはんこうい)と呼ばれています。

そのため、特別代理人を家庭裁判所で選任して、
特別代理人が未成年の代わりに、
相続の話し合いなどをすることになっているのです。

そして、遺産分割協議書や、相続の手続き書類には、
未成年の署名や押印でなく、
特別代理人が署名や押印をする流れになります。

また、未成年が数人いれば、未成年1人につき、
特別代理人を1人選任しなければならない点に、
注意が必要です。

つまり、未成年の人数分だけ、
特別代理人を選任する必要があるということです。

では、特別代理人の選任の仕方ですが、
家庭裁判所に、申立書類を提出して、
特別代理人を選任してもらうことになります。

ただ、特別代理人の候補者は、
通常、申立人の方で用意することになります。

たとえば、被相続人(亡くなった人)の相続に関係の無い人で、
おじやおばなどになってもらうことも多いようです。

また、特別代理人の選任の申し立てに必要な費用は、
未成年1人につき800円の収入印紙と、
事前に用意する戸籍代と切手代です。

戸籍代としては、申立人の戸籍謄本と、
未成年の戸籍謄本、特別代理人の候補者の戸籍謄本と、
住民票が各自1通分必要とされています。

そして、申し立て先の家庭裁判所としては、
未成年の住所地の家庭裁判所です。

また、申立人になれる人としては、
未成年の親権者と、
利害関係人とされています。

利害関係人というのは、
同じ相続人の誰かということです。

つまり、未成年の親か、同じ相続人の人であれば、
家庭裁判所に対して、
特別代理人の選任申し立てをすることができるということです。

なお、特別代理人の選任が難しい場合、
未成年を相続人から外して、相続の話し合いをしたとしても、
その遺産分割は無効となります。

また、未成年を相続人として、
未成年本人と相続の話し合いをして進めたとしても、
その遺産分割は無効となります。

そのため、未成年が相続人の中にいて、
親権者が法定代理人になれない場合には、
かならず、特別代理人を選任する手続きが必要になるのです。

ちなみに、特別代理人の選任の必要書類としては、原則、

・ 申立書 1通

・ 特別代理人候補者の戸籍謄本と住民票各 1通

・ 申立人の戸籍謄本 1通

・ 未成年の戸籍謄本 1通

・ 利益が相反していることのわかる遺産分割協議書など

となります。

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